「何にもなくて、安心しました。ほんとに。」
「酔っぱらいのイタズラだと思って、どうか許してくださいっ。」
「はい。分かりましたっ。」
ニコッと笑ってくれた蒼太先生を見て、また胸のキュンが始まる。
あー。。ダメダメ!
期待しちゃうから、優しくしないでー。
私はその場から逃げるように、お茶を出そうと立ち上がってキッチンに向かおうとした…
「あ、お茶淹れますね。ーーーーーー
フラ~っとした時には時すでに遅し。
やばっ…流石にワイン3本は呑みすぎたかな…
足元がフラついて、そのまま転びそうに…ーーーー
「おっつ。大丈夫ですかっ…?」
ガシッと力強く身体を支えられ、助かった~と思いつつ慌ててその腕から離れようとした。
「あ、ごめんなさいっ、大丈夫。ちょっとまだ酔いが覚め……………っ。」
ハハハッと笑いながら離れるつもりが、何故かそれが出来ない。
何故?
「あの、えーっと、蒼太先生…?」
離れるどころか、蒼太先生にそのまま抱き寄せられたからだ。
訳が分からず、でもドキドキが止まらず。
蒼太先生のTシャツからは、柔軟剤とさっき走ってきてくれたせいかちょっと汗の匂いがした。
久しぶりにこんなに男の人を近くに感じた。
前の旦那は、お酒の匂いしかしなかったから。
「あ、あのっ…俺、高間さんをずっとこうしたかったんです。」
恥ずかしいけど勇気を出してくれたんだなって抱き締められる腕から直に伝わってきた。
「ちょっと頑張りすぎて疲れちゃってる高間さんを、ほっとけなくて。」
「蒼太先生、あんまり優しくしないで下さい。
今、お酒も入ってるし、弱ってるから…」
「やです、優しくします。俺に頼って下さい、甘えて下さい。」
「蒼太先生、いくら担任の園児の保護者でもこんなことしちゃダメです…っ」
押してその優しい腕から離れると、蒼太先生を見上げる。
ーーーーーック。。
こ、子犬のようなうるるな瞳っ。
そんな瞳で見つめないでっ。。
「好き…って理由なら、いいですか?」
「え?」
好き…?
それは、聞き間違いじゃないよね?
「俺、好きだからラブラブしたいです。
…あなたと。ダメですか…?」
そ、そんな子犬のような瞳で見つめられたら…
「そんな目をして言われたら、
ダメって言えな……………………………ンッ。。」
言い終える前に私は唇を塞がれた。
久しぶりにされたキスは、とてもついていけないほどの情熱的なキスだった。
子犬系男子は顔に似合わず、肉食だ…
ちょ…ちょっともう少し手加減して~。



