ドアの方を見ると、確かにドアの陰に、望月くんが立っている。


私は仕方なく、書きかけのノートを放置して、望月くんの所まで向かった。


「望月、くん…?」


そっと望月くんを呼ぶと、私をすかさず視線に移した望月くんは、パアッと瞳を輝かせた。


私を見る目が、全然違う…。


ていうか…


「望月くん、時間大丈夫?」


今行かないと、着席時間に間に合わないんじゃないかな…。


望月くんは、ニヤッと笑って言った。


「次、化学で教室移動なんで、大丈夫です」


望月くんは、もうすでに移動場所に次の授業で使う物を置いて来たんだって。


因みに、化学室は、1階にある。


「な、ならいいんだけど…」