デジタル化された情報は要らない。
そんなの信じたってさ、馬鹿みたいだろ。

目の前の「真実」を信じないで、
画面越しの「虚像」を信じるの?

全てが偽りな訳では無い。
そう、だって苦しそうに泣いたアナタは僕の知る人だったから。


待たなくて良いと嘯く唇を手で塞ぎ、
その瞳を見詰めれば溢れ出す本音。

「後悔はしていない」
知っているよ。

「充実しているんだ」
知っているよ。

「ただ、」
聞かせてよ、僕だけに。

「時々、とても、ーーー」
知ってたよ、ねえ。


顔を片手で覆うアナタを僕はそっと抱き寄せた。
声を押し殺して泣く様は、精一杯の強がりか。
それとも弱音を吐く事すら己に禁じていたのだろうか。


世間がタグ付けしたアナタ。
僕の識る、キミ。
ふとした瞬間に見せる共通点。


僕はわざと無知なフリしてさ、
甘い嘘を啜るんだ。
キミが望むならそれでイイさ。
道化はドチラかだなんて、今更そんな話は良いだろう?
そんな話題は手のひらで丸めて燃やして。
排出された燃え滓は言葉通り水に流してしまえよ。



僕に見せるキミが全て偽りとは思わない。
そこまで僕は馬鹿では無いよ。
待って無くて良いと謳う言葉の真意を探れるぐらいにはね。


甘い甘い毒に侵された僕はもう中毒者。
偶には苦いスパイスも舐めさせて。
君の真実を織り交ぜて。
それまで僕は、目を伏せて置くから。

ねえ、僕はキミの居場所に成れただろうか?
いつか僕達の道化が終わりを告げ、その応えが聞ける日が来ると良い。
どんな結末だろうと文句は無いさ。