誰もが振り向くような容姿に、弾けるような笑顔、頭脳も明晰、お家柄もいいお嬢様、なのに気取っていないその性格で誰に対しても慈愛に満ちた態度で接する。全てが完璧で、誰もが憧れるヒロイン。

最初からわかってた。
何を比較しても勝てるものなの何一つない。
《完全無欠》
それはまるで生まれた時から決まっていた運命みたいなもので、彼女はなるべくして、彼女になった。それはまるで使命なようなもので、
日常から人を羨み、妬み、ひがむことしかできない私には、幾つもの困難を乗り越え、最後には白馬に乗った王子様と結ばれる。そんなヒロインになれるはずなかった。なるための資格すら、持ってなかった。