月日は流れ、俺とルイも普通に彩羽なしでも話すようになった頃、急にルイからの提案があった
それは
「彩羽のBirthday partyやろうよ!!」

彩羽の誕生日は6月7日生まれだ
毎年、俺の家に来てケーキを食べるのが習慣になっている

「彩羽の誕生日は俺んちでケーキ食べて祝うってのが通例になってる」
「ほんとに彩羽とけーすけは仲がいいな」
「うん、まー
バースデーパーティーだけどどうする?」

今、彩羽は掃除当番で残っているから彩羽を気にせずに話ができる

「オレは彩羽を驚かせたい」
「あー、彩羽なら簡単なことで驚くよ」
「彩羽には当日まで俺が行くことサプライズで、
あと部屋暗くして、クラッカーやりたい」
「なら、店とかよりも家のほうがいいな」
「彩羽の家に突撃する?」
「いや、彩羽の家はやめとけ!
俺んちなら毎年のことだから彩羽にも怪しまれないし、使っていいよ?」

唐突に彩羽の家を拒否するような口ぶりはまずかったか、ルイが少し驚く

少し間があいてルイが話す
「けーすけの家、行きたい!」
「目的変わってる」
「あっいや、ありがたく使わせてもらいます」
「どーぞ、どーぞ
ちゃんと綺麗にしておくから大丈夫」
「けーすけなら部屋綺麗そうだけど」
「俺は綺麗にするんだけど、飼ってる犬に時々散らかされるから」
「けーすけ、犬飼ってるのか!」
と話は変わっていく

誕生日当日の学校帰りは、俺は部活があり、彩羽は友達に祝ってもらうとかで、ルイは先に俺んちでパーティーの飾りつけをするとかで3人バラバラだった

彩羽は祝ってもらってから、そのまま直接俺んちに来る予定だった

「ただいまー」
「けーすけ!おかえり」

家に帰ると飛び出てきたのは、ルイと犬の小豆だった
ルイはいつのまにか小豆と凄く仲良くなっていたようで、2人?でじゃれあっている
部屋の飾りつけは完璧で、いつ彩羽が来ても大丈夫だった

「ルイ、凄いな」
はははっと照れたように笑う姿は彩羽にちょっと似ている
「小豆もよかったな
遊び相手がいて」
小豆はルイに飛びついてなめまくっている
家に小豆以外にも母さんがいたのだが、仕事が立て込んでるとかで、部屋にこもっている

「彩羽、遅そう?」
「わからない、友達に祝ってもらうっていうし、俺んちに来るのは遅くてもいいっておもってるだろうし」
「家近いんだっけ?」
「あー、うん」
「オレもこっちに住みたいな」
「でもルイのほうが学校に近いんじゃないか?」
「けーすけの家に来てみたら、あんまり変わらなかった」
「そっか、
あっ、ルイって家帰るの遅くても大丈夫か?」
「一応、親には言ってあるし、親も仕事で遅いから大丈夫」
「了解
きっと、彩羽来るの遅いから楽にしてて」
「Thank you」

「ねー」
急にルイが聞く

「時間あるんだったら、ちょっと真剣な話してもいい?」
「いいけど」

俺はキッチンで飲み物をとってくる

「真剣な話って?」
「うん、彩羽とけーすけは凄く仲がいいけど、ほんとにそれだけ?」
「それだけだけど?小さい時から仲がよくて、親友」
「けーすけも、彩羽もお互いのこと『親友』って絶対言うよね
ごめん、この間、けーすけが友達にからかわれているの聞いた
『愛しの彩羽ちゃん』って」

けんぞーだな
こんなことをいうのはけんぞーしかいない

急にルイが彩羽と俺との関係を探ってくる

これだけ仲がいいとよく聞かれるから慣れてはいる
だから今回も同じ返答をする

「それってさ、けーすけが彩羽のこと好き?ってことじゃないのか
オレも勘が鈍いってわけじゃないから、2人のことみてすぐにお互いのこと大切に思ってるんだなって感じたよ」
「ルイ?
男と女の間には恋愛感情しかないのか?
俺は、男と女の友情ってありだと思う」
「恋愛感情しかないとは思わないけど、、、 」
「俺はルイとは友達だと思うし、彩羽も友達だと思う」
「オレは彩羽は鈍感なところあると思うけど、けーすけはそんなんじゃないだろ?」
「俺も結構鈍感だよ
ルイは、俺を完璧超人とか思ってるかもしれないけど、俺そんなに頭のきれるやつじゃないし」
「なんで、ほんとのこといわねーの?」

少しルイがキレてくる

「あきらかに、彩羽に対する気持ちはオレなんかよりもずっとずっと重いだろ?」
「そりゃ、一緒にいる年月違うしな
でも、俺と彩羽は親友でそれ以上でも以下でもない」
「けーすけは彩羽が好きじゃないのか?」
「好きだよ、親友としてのな」

少し間が生まれて、ルイは意を決したように言う

「オレは彩羽が好きだよ
友達としてじゃなくて、ちゃんと恋愛感情で」

ルイが彩羽を好きなことなんとなく気づいてた

最後はこうなるんだってのもわかってたけど、少しルイに失望した

どこかで、ルイは違うと思っていたかったのかもしれない

「いいのかよ、、、 
オレが彩羽取っても」

「けーすけは悔しくないのか?後悔しないのか?」
「それは俺の決めることじゃない、決めるのは当事者の彩羽だ」
「けーすけは、彩羽が絶対に俺に振り向かないと思ってるからそんなに余裕なのか?」

「余裕とかそもそも俺は彩羽とは親友なんだから関係ない
、、、 多分、彩羽はルイのその言葉にその思いに拒否したりしない
きっとちゃんと受け止める」
「本当にけーすけはそれでいいのか?」
「いいよ」

誰にもわからなくていい

彩羽にでさえも

彩羽に対する気持ちを想いを

「けーすけは変わってるな」

時々、言われる

彩羽はなんだかんだ、可愛いし、成績も優秀、運動も悪くない、性格も積極的で明るい
そんな子がそばにいながらも、頑なに親友だといい続けていることに周りは変だという

いいんだ

俺は本気で男と女の間に友情はあると思ってるから

「けーすけは、大切に思う相手への気持ちを守ってやらないといけない自分が、自分で押し込めて傷つけてる」

ポツリとつぶやいたルイの言葉に反発したい気持ちが少し芽生える

仕方ないんだ

これが俺の決めた道なんだ

悩んで、苦しんだ結果なんだ

変な空気になったところで、彩羽からメールがくる
「今、駅だからもうすぐ着くよ(^◇^)」

空気を換えるために努めて明るい声をだす

「ルイ、彩羽、もうすぐ来るって」

「あぁ、うん、準備しないとな」

ルイに少し不満げな声で答える

きっと、納得できてないことが沢山あるんだろう

ルイと俺たちの関係はまだまだなんだ

ちょっとして、彩羽が家に入ってくる
「お邪魔しまーす」

部屋を暗くしてあるから、廊下の電気を頼りに部屋に入ってくる
「けーちゃん?」

部屋に入ったと同時に電気をつけてクラッカーをならす
「Happy Birthday!!彩羽!!!」

一瞬、彩羽はボーゼンとする
ルイ的には満足のいく結果なのか満面の笑みだ

「あ、ありがとう!!
あっえっ、ルイも来てくれたんだー
わぁああああ、飾りつけも凄い
けーちゃんではここまでの完成度はできないよー」
「失礼だぞ、なにげに親の前で、子供をけなすなよ」
電気付け係に母親を使ったので、母親もそばにいる

「けーすけは不器用だからねー」
母親も笑って答える

「ルイ、飾りつけ、凄いよ!
時間かかったんじゃないかな、ありがとう!!」
「彩羽、おめでとう!
いつものお礼」

彩羽とルイは話し出してしまったが、いったん会話をストップさせる

「彩羽ー、もう既に満腹?」

一応確認する

「ペコペコ、お祝いしてもらったけど、けーちゃんちで食べるために胃袋開けてきました!!」
「よかった、俺たちもご飯まだだからさ」
「けーちゃんの料理、毎年楽しみにしてるんだから」
「けーすけ、料理得意なのか?」
「うん、まー母さんこんな感じだから
俺も料理するの割と好きだし」
「いやー面目ない」

冷蔵庫から、準備してあった料理を取り出して、少し温めて、彩羽の誕生日会を始める

「彩羽!改めてHappy birthday!!」
「ありがとうございます
今年もお願いします」

食事をしていると、父さんも帰ってきて、混ざって食事をする

両親ともにルイと初めましてだったが、小豆が邪魔をしたり、パーティーということもあってテンションの高い中だったのか、ルイの照れ屋もあんまり発揮するところはなかった
両親もルイを気に入ったようで、仲良くしてくれている

そろそろパーティーも終わりかけで、ルイが彩羽にプレゼントを渡す
それは、前にゲームセンターで彩羽が欲しがっていたユーフォ―キャッチャーの景品だった
「覚えててくれたの?」
「彩羽の欲しいものがわからなくて」
「嬉しい、ありがと」

俺は相変わらず、プレゼントは手作りの夕食ということ済んだ

ルイを駅まで2人で送って、そのまま彩羽を家に送り届ける

「けーちゃん、ありがと!おじさんとおばさんにも再度伝えておいてねー」
「ばいばい」

「いろはー、生まれてきてくれてありがとう
Happy Birthday!」

彩羽はくしゃっと笑った

そして明かりの灯っていない、寒い家へ入っていった