駅員さんが言った少しは
何分くらいのことだったんだろう
どれだけ歩いても
青色のペンキ塗りの建物は見えてこない
ちょっと前まで見かけていた観光客は
いつの間にかいなくなっていた
今年唯一買った夏物のい白いワンピースが肌にくっつく
海の音はするのに冷たい風は一向に吹いてこない
そういえば、日焼け止めまだ塗っていなかったんだ
木の陰に隠れて
石垣に座った
歩いているときに自動販売機で買ったミネラルウォーターを口に含む
ぬるい
にしても暑い
勝手な予想だけど
田舎は涼しいイメージがあった
木とかいっぱい茂っているし
日陰もこんなにあるのになんでこんなに暑いんだろう
もしかしたら太陽がこの町は大きいのかもしれないな
1.5倍くらい
そんなこと思って一人で笑った
別に声を出して笑ったわけではなかった
だけど喉から漏れた笑い声が
なんか久しぶりというか
懐かしいというか
変な気持ちがあふれて
また少し笑ってしまった
思わず手を太陽にかざして
太陽を隠した
意外と小さいななんて思って
手のひらの隙間から黄色い光が漏れていた
こんなことするキャラじゃなかったのにな
手が熱くなって
手をそのまま下した
「ハル?」
そんな声がしてふと見ると
そこには男の人が自転車を構えながら立っていた
