「かんぱーい」
ひーと枕投げしていると楓が帰ってきて
またしばらくしたら咲と日向が部屋に夜ごはんと
アルコールを持ってやってきた
「そら、お酒とか飲める方?」
日向はビールをぐびっと飲んで言った
「まあまあかな、飲める方なの?」
「俺はね~、俺もまあまあだな」
「嘘つけ、弱いくせに」
咲の言葉通りもうすでに顔が赤くなっている
「ほんと日向は弱いよね、ひーはそんなことないのに」
「楓も強いよね。そして咲は…」
「飲まないっ」
みんなが声をそろえて言った
「そうなの?」
「そうなんだよ~ほんとはすごい弱いんじゃないかって噂なの」
「だからちげーって、俺は飲まないだけ」
「じゃあ飲んでみてよ~、今日はそらの歓迎会だよ?」
日向が酔っ払い調で言った
「だから?」
「はーもう冷たいね、だからもてないんだよ、咲は」
「確かに」
「確かに」
ひーの言葉を楓が復唱した
そしてみんながどっと笑った
「咲ってほんと顔はいいのに全くもてないよね、そうやって眉間にしわばっか寄せてるからだよ~、ほら俺みたいにスマーイル」
そうやって日向は咲のほっぺのはじとはじを引き上げた
「やめろって、酔っ払い」
そうやって咲が振り払ってもしつこく日向はくっついている
「ごめんね~、いつもあの二人あんな感じなの。気持ち悪いったらありゃしない、べたべた」
楓は二缶目を飲み切って溜息をついて言った
「俺は不可抗力だし」
「はいはい」
「しかも、こいつもう寝やがった、はや」
日向は咲に抱き着いた形で眠りについていた
「ひな兄もう寝たの?」
「だれだよ、歓迎会だって騒いでたのは」
そうやって言っている咲はなんだか優しい笑顔で
それを見ているひーも楓も笑ってて
本当に仲良しなんだなってことを思わせた
「ほら、そら、手が止まってるよ、飲んじゃえのんじゃえ」
だけどそれは疎外的なものじゃなくて
どんな状態でも受け入れてくれるような
広くて温かいものだった
きっとここなら
頑張れる
そんなよくもわからない根拠が少し酔いの回った頭に
ぼーっと浮かんでいた