「壁に耳あり障子に目ありだよ!」
「澄み渡った高い空とサラッサラの砂しかないよ」
「俺が壁で、障子にもなるよ!」
「はい、壁ドーン」
「この上無い快感!」
「無機物は黙っとけ」
いやぁ、ストレス溜まったときに壁殴るといいね。
私今まで壁は硬いと思ってたから殴りたくなかったんだけど、今回の壁は殴り心地良かった。
変態は嬉しそうに顔を緩ませ、私の足下の砂で体育着の背中を汚している。
間違えて足滑らして踏んじゃいそうだね。
「玲美ちゃん、紗綾ちゃん走りますよ」
「あ、ほんとだ。サァヤ頑張れ~!」
スタートラインに手をつき、前を見据えるサァヤは成る程美しい。
「上から聞こえるレミちゃんの黄色い声援を録音したい!」
「あ、ごめん。間違えて足滑らして踏んじゃってた。」
「踏まれた部位は洗いません!」
「松田君って不潔ですね」
「カナやんに同意。汚いの嫌い。」
「アルコール除菌からの高温煮沸で消毒します!」
[ 赤軍速いです!今周りと大差をつけてゴォォォォル!緑軍、緑川お前追い上げろコラァ! ]
体育祭特有の、ハイテンションな放送に気付かされ100mレーンを見る。
あ、サァヤの走り見逃したわ。1位おめでとう。
主に変態のせいだからしょうがない。サァヤに怒られたら松田君のせいにしよう。
それにしても放送委員のインパクト強いな。
マイク持ってるやつ絶対緑軍だよ。名指しでプレッシャー掛けたよ