こういう時って当人が一番冷静だったりするようだ。


松田君の指摘を受けて私の足を見たサァヤが狼狽える。




「え?あっ、ごめん!大丈夫?」



「うん。サァヤ落ち着こう?また割っちゃうよ?」




サァヤみたく足綺麗じゃないからそんなに見られると恥ずかしいんだが……



『高校生なんだから!お洒落しなさいよ♪』と基本長いジーンズしか履かない私にショートパンツやスカートを進めてきた母に言いたい。


見せていい足と駄目な足がある、と





こんな時いつもなら思考を読んで笑うサァヤが泣きそうになりながら何度も何度も謝ってくる。


これじゃあ私がサァヤをいじめてるみたいだ。







これくらい、別に大したアクシデントじゃないのに、今まで見たなかで一番深刻そうな顔をするサァヤ。


謝らなきゃいけないところももっとあっただろう、てか私の弁当奪ったことは謝れ



うん、サァヤは普段ヘラヘラしてるけど、根はしっかりしてる子だと思う。





「わざとじゃないって分かってるから。怪我も無いしね?大丈夫。心配してくれてありがとう。」




私なりに優しく、怒ってないよと笑う。


私は特に笑顔が得意なわけでもない


っていうか苦手な方だけど、サァヤにそんな顔はしてほしくない。



いつもの馬鹿みたいな詐欺みたいなサァヤが好きだから。



これは将来のための営業スマイル練習だ。