あちらこちらで執事やメイドが忙しなく動き回る。


後夜祭で発表される部門別クラス有志表彰で上位を狙えそうな勢いだ。




喫茶に人が増えてくるお昼時、雑音の中に聞き慣れた声が響いてきた。




「笠原~お前に指名だそ~」


「今行く」




軽井君よ、私にだけ指名制度でもあるのかね?




「なんだ?」




目で訴えるがどうやらテレパシーは使えないタイプの人間らしい。


私ももちろん使えないがな←





「うふふ♪来ちゃった☆」




ベージュのシフォンワンピースに身を包み私の目の前で微笑む女性。


その無邪気な顔にため息をつきたくなる。





「お帰りなさいませ、お母様」


「「「お母様!?」」」




喫茶内に驚きの声が木霊する。


お前等人の会話に興味ありすぎだろ……





「お席にご案内致します」


「ありがとう。ふふっ、玲美ったら格好いいじゃない」


「メイドよりは着こなせてる自信あるよ」




自分のメイド姿とか、想像もしたくないけどね。


似合わない自信しかないよ。




「あら!?私は玲美のメイドも似合うと思うわよ?」


「身内の贔屓目は止めてくれ」




プライベートな会話もそこそこに注文を取り、厨房にメニューを伝えに行く。



教室に戻ると、包囲された。


いじめ、ダメ!絶対!