「ここで話すのもなんだし、あそこのお店入ろうか…」
さすがに周りの視線が痛くて、あたしはすぐ近くにある喫茶店に誘った。
「中原くん、気持ちは嬉しいけど…
ごめんなさい。あたし、どうしても忘れられない人がいる」
ここで中原くんに流れることだってできる。
もしかしたら智哉くんを忘れるチャンスになるかもしれない。
でもあたしはそのために真剣に告白をしてくれている人を利用するのはいやだった。
「そっか。じゃあさ、付き合わなくてもいいから、俺は好きなままでいい?
真央ちゃんのこと、好きでいていいかな」
「中原くん、あたしきっと
ずっとあの人のことを思い続けるんだと思う。気持ちが変わることはないよ」
別れてから初めて、今も胸の奥に秘める智哉くんへの気持ちを口にした。
そっか。あたしそんなに智哉くんのことが好きなんだね。
「それでもいいよ。
俺、振り向いてもらえるように頑張るから」
そしてそのまま続けた。
「まずは友達から。友達からでいいから、側にいることを許してもらえない?」
まるで映画のようなセリフ。
中原くんもカッコいいから気持ち悪いとは思わないし
むしろ…

