「真央、2人を座らせてあげて。
俺盛り付けとかやっとくから」
「え?いいの?あたしがやるよ」
「んーん、俺がもてなしたいから」
「分かった!」
「桃、優くん、ここ座って!」
桃と優くんは未だに状況を理解できないままで、一点を見つめてぼーっとしている。
「真央。説明して」
「するけど、ちょっと待ってよ」
「無理!待てない!
だって宮川智哉だよ?
分かってる?相手は一般人じゃない。
普通の恋愛なんてできないんだよ?」
「それは分かってる」
「真央が憧れてた
手を繋いでデートしたり
笑いあったり、できないんだよ?
それにバレたら、智哉くんだけじゃない、真央も傷つくの。
それでも選ぶ?」
真剣な桃の目。
ちらっと優くんを見ると
優くんも真剣な目であたしを見ていた。
このとき始めて
ことの重大さを生々しく感じたんだ。
でもね、桃。ごめんね。
「あたしはそれでもいいの。
バレないように連絡必要最低限取らない、外では会わないって決めてるし。
それにね、桃。
あたし、智哉くんがいいの。
智哉くんじゃなきゃ嫌なの」
桃が、優くんのことを好きなように。