放課後。


ホームルームが終わった後、わたしはいつものように図書室に向かう。


今日は受付の当番だ。





「あ、岩井さん。やっほー」



と。



受付の椅子に座ると、小声で話しかけてきたのは、同じクラスで図書委員の上野真君。



上野君とは高校2年生で初めてクラスメイトになり、春からずっといっしょに図書の活動をしている。



「……………」



わたしは黙ってしまう。


こういう時って、なんて言い返せば良いんだろう…


わたしも、「やっほー」って、言い返すべき?でも普段話さないのにそんなこと突然言ったら引かれないかな…でも無視するのも悪いし……


どうしよう…言うタイミングなくなっちゃう……早く何か言わないと……でもなんて言えば…………



「……今日も仕事、頑張ろうな」



押し黙ってしまったわたしに、上野君はにこっと笑って、そんなことを言ってくれた。




その笑顔が眩しくて。



その言葉が、なんだかすごく嬉しくて。



「………うん。頑張ろ!」



わたしはいつの間にかそんなことを言っていた。



なんだか自然と言えていた。



上野君はちょっと驚いたような顔をしてから、「おう!」と、また笑顔で言ってくれた。