「大丈夫か?顔色悪いけど。」 背の高い新太が、茶色がかった瞳であたしの顔を覗き込む。 「う、うんっ。大丈夫!」 ・・・だ、だめだ。 顔は近いし、いきなり話しかけてくるし…。 何より顔もムダにいいから、ドキドキする。 「…顔赤いけど。ほんとに大丈夫かよ? 熱でもあるんじゃ・・・」 ・・・無自覚か! 「とにかく、なんでもない!熱もない!さよなら!」 「おい、待てよ!」 …なんか聞こえたけど知らないっ。 あたしは唯一の取り柄である俊足で、校舎へ向かって走った。