夜中、いつものように鳴るチャイム


彼の、独特のチャイムの鳴らし方は二人だけの特別な合い言葉だ。



「やあやあ、久し振りだねー」



するりと、僅か開いた隙間から滑り込むようにして入ってきた男はふにゃりと笑って言った。



「久し振りって、毎日来てる奴がよく言うわ」



「いやー、美加子相手だと言ったことないから初めて言ってみようかなって」



訳が分からない理屈


そんなバカみたいな龍平も可愛いから別にいいけどね。



「そんなことよりお酒臭いんだけど」



彼の存在と共に部屋に満ちる臭いに私は眉をしかめた。



「そんなの毎日のことでしょー」