『……よっしゃ!!』 北山くんは大きな声を出して 芝生の坂を走って下りて、 グラウンドに 足を踏み入れた。 私は行き遅れて ゆっくりと芝生の坂を 下りていく。 『長川!』 北山くんが 私の名前を呼ぶ。 「なにー!?」 私は坂のちょうど 真ん中あたりで 足を止めた。 『ここ、俺の原点ってやつ! ここで俺、サッカー 始めたんだ!』 そう言う北山くんの顔は 得意げで凄く嬉しそう。