それからの帰り道は
北山くんが
ずっと喋り続けて、
私が聞き役だった。



さっきまで
あまり喋らなかったのは
相当寒かったからだ……。


暗くてすぐ
気付けなかった自分に
悔しさを感じたり..。



『あっ!
 もしかしてここ!?』


北山くんは
表札の【長川】に
指を差した。



「あ、ほんとだ!」


『ほんとだ!って……;
 お前たまーに
 すっとぼけてるよな(笑)』


そう言いながら
北山くんは羽織っていた
ダウンを私に返した。


「これ、
 羽織ってていいから!」


『ダッシュで帰る。』



北山くんは
ダウンを受け取らない。