階段の途中で歩いていた蓮が気遣ったように微笑んだ。

付き合ってるのに手もつないだことなかった。
恥ずかしいから。

「…大丈夫だよ」

蓮の声が耳元で聞こえてきて、気付けば蓮の腕の中に包まれていた。ふんわりといい香りがする。

「ちょ、れ…」

「なんか可愛いから。やだ?」

「全然…」

なんで私は気づかなかったんだろう。

階段の下からの視線しか見てなくて、
上からの視線なんて目にもとめなかった。