私は、やっぱり夜の海が好きだ。

波の音と砂浜の感触が、私の心を和らげてくれる。


一人月が映りこんだ夜の砂浜を歩く。



その時だった。



「ここみ!」



私の手を誰かが掴んだ。

私はとっさに振り返った。



「急にどうしたんだよ?心配するだろ…」



そこには、息を切らした空が立っていた。



自惚れた。

海斗かと思った。




私は、空の手を思い切りはねのけた。