俺がもう少し早く気付けば、守れた命だった。 気付くのが、遅すぎた。 ビーチサンダルを脱ぎ捨て、海に飛び込むアユミ。 それが、俺が見た最後の姿だった。 「行くな!!アユミーーーっ!!!!」 子供がいた場所から浜まで、そんなに遠くなかった。 子供は、アユミが渡した浮き輪で、自力で浜まで泳ぎ、何とか助かった。 だが、波はアユミを飲み込み、海の底へとさらっていった。 海は、俺を裏切った。