それから、俺とアユミが付き合い始めた日を境に、俺と空は口を利かなくなった。
上と下で別れて働くようになり、海空コンビと言われることもなくなった。
雫やアユミは心配したが、俺は別に構わなかった。
アユミさえいれば、それで良かった。
そして、あの日は突然やって来た。
その日の海は、いつも通りに見えた。
ただ、少し波が高かった。
その日の午後、いつものように客で賑わうしおかぜと海を、雨雲が包んだ。
突然雷が鳴り、大粒の雨が降り出した。
それは、ポツポツと砂浜の上にしみを作っていたが、あっという間に白い砂浜を黒い砂浜へと変え、水溜りとなった。
俺は、非難する客の対応に追われていた。
その時だった。
「誰か!!助けてください!!子供がっ、子供がまだ海に…っ!!」
表情が青ざめ、気が動転した母親が、しおかぜへ駆け込んできた。
そして、その声を聞き、即座に海へ飛び込んだのは……アユミだった。

