空は海斗に掴まれた腕を乱暴に振りほどいて、部屋を出て行った。



2人きりになると、海斗は私を抱きしめた。

海斗のほのかな温もりと香りが伝わる。


傷ついた私の心に包帯が巻かれる。

海斗の温もりに安心して、私も海斗の胸に顔をうずめた。


突然の出来事に、私は息が上がっていた。



「大丈夫だから。守れなくて、ごめんな?」


「ううん……」


「まさか、こんな夜中に来ると思わなかったから……」



私は、乱れた髪の隙間から時計を見た。

時計の針は夜中の3時を回っていた。


俊兄たち、起こさなかったかな。



しばらく沈黙が流れ、部屋には規則正しい秒針の音だけが、やけに大きく響いていた。



「あいつ、何考えてんだ。全く分かんねー」


「うん……」


「ここみ、大丈夫か?下でいいから、もう寝ろよ。」



元気のない声を出した私を心配して、海斗は私から体を離した。


海斗は乱れた白いシーツを直し、ベッドに私を寝かせた。

そして、自分も上へ上っていった。