「海斗すごいね!才能あるんじゃない?」
「焼きそばの才能とか嬉しくないし。毎年手伝わされてるから、もう慣れてんだよ。」
海斗はそう言いながら、代わりの焼きそばを皿に盛り、かつおぶしをふりかけた。
そして割り箸を添え、私に渡した。
「ほら。これ運んで来い。あそこの3番テーブル。その後、俺がみっちり教えてやるから。」
私は何も言わず、海斗からその皿を受け取り、3番テーブルに運んだ。
戻ってくる前に、階段を上ってきた空くんに遭遇した。
「あ、ここみ!俺、腹減ったんだけど、何か作ってくんない?」
声、容姿、性格。
共に完璧。
まさに白馬の王子だ。
「コイツ、何も作れねーぜ?さっきも焼きそば焦がして、な?」
私が答える前に、海斗が答えた。
意味深の笑みで、私に微笑みかけてくる。
なんてヤツだろう。
やっぱり、海斗なんか大っ嫌い!

