その夜、布団に潜りながら、私は迷っていた。



まだ、海斗にお礼を言っていない。


私は『ありがとう』が、照れくさくて言えないのだ。

今更って感じもするけれど、やっぱり言わなきゃダメだ。


あの時、助けられたのは、紛れもない事実だから。



「海斗ー?起きてるー?」



私は布団をかぶったまま、下の段にいる海斗に話しかけた。



「寝てる。」



起きてるじゃん!!


素っ気無い海斗の言葉にむすっとし、私はまた布団を深くかぶった。