「ここみ、海斗と幸せにね!大好きだよ!」



雫が私に抱きつく。



「うん、私も大好き!雫も空と幸せになってね!」



雫は、涙を流していた。

そんな雫に『もう、泣かないの!また来るからね!』と言いながら、自分も泣きそうだった。



「ここみ。色々迷惑かけてごめんな。」



空が申し訳なさそうに謝った。

でも、私は空が頑張っていたことを知っている。



「ううん。空、元気でね!」



私がそう言うと、空はにっこりと笑った。

そして、私の耳元で囁いた。



「俺、雫のこと好きだよ。絶対幸せにするから」



私は満面の笑みを浮かべながら、『雫を頼むね』と、初めて会ったときのように空と握手をした。

やっぱり、空は白馬の王子様。


すると、電車の到着を告げるアナウンスが流れた。



「気をつけてな。絶対迎えに行くから。」


「うん、ありがと。海斗……」



私と海斗の左手の薬指に、シルバーリングが光る。


白線のすぐ外側に並んで立っていると、するすると電車がホームに入ってきて、停車位置に寸分の狂いもなく止まった。


私が電車に乗ろうとしたその瞬間、海斗は私を力強く抱き寄せ、キスをした。