~空side~


砂浜の上で抱き合い、仲直りするここみと海斗を切なく見つめていた。

さっきまで俺の腕の中にいたここみは、今は海斗の腕の中にいる。


ここみの言った言葉が、こだまする。


―――『私がアユミさんに似てるから、好きになったんでしょ!? 』


泣き崩れたここみを抱き寄せ、俺は言う。


―――『違う。そんな理由で、俺はここみのこと好きになったりしない。アユミなんか、関係ねーよ。』


俺は、自分に言い聞かせていたんだ。


そして、雫から言われた言葉。



―――『違う!空は、ここみを好きなんじゃない!アユミさんのことを忘れられないで、アユミさんに似たここみを追っているだけだよ!』



それまで積み上げてきたものが、一瞬にして音を立てて崩れていくのが分かった。



―――『お願い、目を覚まして!アユミさんは死んだの!ここみは、アユミさんじゃないの!』



やめてくれ。

もう、やめてくれ…!!


俺は、すがってくる雫の手を思い切り振り払った。



そして、俺は気付いた。

未だに死んだアユミを追っているのだと。