「雫…!?」


頭の中が真っ白になった。

私の体は硬直し、体中がドクンと波打った。


私の言葉に、空が素早く反応した。



「どうして?空…。ねぇ、何で?私たち、付き合ってるんじゃないの…?」



雫の声は弱々しく、波の音に消されてしまいそうだった。


空は、私の体から手を離した。

私は、自分が今までやっていたことに気付き、その場に崩れ落ちた。


意地を張っていたとか、素直になれなかったとか、甘えてしまったとか。

そんなことは理由にならない。


私は、親友を裏切った。


脱力した私を海斗が支えた。

ごめん、と言いながら…。


私は、みんなを傷つけた。



「雫。中途半端な気持ちで付き合って、ごめん。でも、俺…。振られたけど、ここみが好きなんだ。ここみと海斗が付き合ってても、関係ないと思ってる。」



空の告白が、夜の海に響き渡った。


胸が痛んだ。


今、雫はどんな思いでいるだろう。

どんなに傷ついただろう。


空が大好きだった、雫。


結局私がやっていることは、美由と同じだ。

人間不信とか言って、結局私は美由と同じことをした。

しかも、大事な大事な、雫に。


もう嫌われても、憎まれても、仕方ない。



4人の真上には、大きく翼を広げた白鳥座が、夜空をゆっくり飛んでいた。