「ま、頑張れよ。
お偉いさんには迷惑かけんなよ。」

「わかってる。」


「で…どんな子なんだよ?
お前が手に入るか自信がない女ってのは。」


車は夜でも交通量の多い道路を走る。

静の家まではまだ時間がかかりそうだ。


その時間を賢一は無駄にはさせまいと思い、

静が落ちた女についていろいろ訊くことにした。


車の中で、小さな記者会見が繰り広げられた。


「で、いつから好きなの?名前は?いくつ?」

容赦ない賢一記者の質問に
静は素直に、そして丁寧に答えていく。


そんな静に賢一は、初めて彼を
『滝沢静』として見えるようになれたのだった。



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