「こう・・・」
「頭出さないで。そのまま」
眉間に皺を寄せすぎていた為だろうか。アキラが心配してこっち側に身を乗り出そうとしていた。
「・・・良し、決めた」
結局彼らの頭の悪さを願う事にした。
とまぁ、決めたのは良いのだけれどこっちはマロヤスの裏側。薬屋の裏から表に出る為にはぼく等が一度来た道を追ってきている奴の前に姿を晒さなければならない。
しかもそいつは
「追ってこないな」
そう、アキラが疑問に思っている通り全然この道を進んで来ない。
短時間だったので、ぼく等がこの道にトラップを仕掛けたとは思ってないだろう。
ならどうしてか。可能性は大体2つ。
裏が行き止まりなのを知っていて、回り込んでいる奴が到着するのを待っている。
もう1つが、最悪なのだけれど・・・・。
その最悪の可能性を調べる為にちょっとだけ、本当にちょっとだけ頭を道に晒してすぐにビシィッ!
「ひぇ」
「・・・・くっそー」
すぐに引っ込めた目の前で壁が爆ぜた。何かの飛び道具だ。
最悪の可能性・・・それは追っ手が飛び道具を持っている事。
それが今確認された。姿を現した瞬間に狙い打つつもりだ。
音がしなかった。飛んできた物が確認できなかったあーんど壁を打った物が目に見える範囲に無い。
「スリングショット・・・」
「はい?」
恐らく、あくまで想像でしかないけれど飛び道具の正体はスリングショット・・・通称ぱちんこ・・・か?
名前はなんとなくかわいいやら卑猥やらで子供の玩具的な感じではあるけれど、大人が持ち、玉をそれこそパチンコの玉にでもすれば立派な凶器だ。しかも拳銃なんかと違って所持するのに違法性もなければ、なんの資格も必要無し。
誰かが手に入りやすく最強の武器はボゥガンだと言っていたが、ぼくはスリングショットを薦めたい。いや、そんな話をする友達いないですけれどね・・ふふ。
さて、相手の武器になんとなく想像はついたけれども事態は悪化の一途を辿っている。
ここにいる時間が長くなれば長くなるほど、奴等の得。
さて・・いっちょ気合入れて飛びましょうかね。