「戦闘機の降ってきた日はね、町の所々が地獄みたいだったよ。いたる所で誘爆や延焼、それによって家や家族を失った人達の声・・・。まぁ、ぼくは高校にいたんでなんとも無かったけれどね」
「・・・・確かにニュースで見たような気がする・・・。でも、その後すぐにこの土地の人と日本は和解したって新聞で見た気がするよ?」
「表向きは・・ね」
自然と視線が橋の・・・瀬戸大橋の根元のあたりを向いてしまう。
「裏向きは?」
「・・・リアルに地元の人がこんな事言うのはなんだけどさ、当時の町の人はみんな・・・怒りすぎてちょっとアレな事になってたんだと思う」
日本政府からすぐに高官が来て、町の人に事情やら何やらを説明したらしい。賠償問題とか、そんな感じだろう。
しかし、選ばれた町の人は全員その話を蹴った。
そして政府に持ちかける。
”4国と町の事には全て目を瞑る”
それだけで、和解としようと。今まで通りやっていこうと。
当時の日本政府はそれを聞いて大喜びだったらしい。たかだか小さな町一つが、ちょっとしたローカルルールを作らせろと言ってきた。それだけで金もなにもいらないのだ。
「それが・・・・」
「そう、プチ鎖国」
シリアスムード台無し。あぁ・・・だからあまり女性に好かれないのか・・。
「もうちょっと詳しく説明すると、”南”からこの土地への入国管理。”南”からの不法入国者に対する管理。この二つ」
「あれ?出入国じゃなくて入国だけ?」
「うん、それやるとこの土地の持つ意味が大きくなりすぎるからね。行くのは自由と」
「それであれなんだけど・・・不法入国者に対する管理ってのは・・・」
「そ、それが先程話した変な鎖国のルールでさ、”南”から不法に(ってか合法な入り方はこの土地には無いんだけれど)入ってきた人間に対しては生死問わず捕らえれる権限が町自体にある、とおおざっぱに説明させてもらう」
あー喉渇いた。