悪魔な彼が愛を囁くとき


カーテンを引き、小さな声で悪態をつきながら服に着替えている。

「おい、聞こえてるぞ」

チッと舌打ちしてしまう私。

「舌打ちまでしやがって…そもそも、カーテンも引かずに着替えている凛が悪い。見たのが俺だったからよかったものの、他の男だったらお前襲われてるぞ」

いやいや…
あなたの方が危ないでしょうが。

「着替えているのわかってて、ノックもせずにドアを開けるのはおかしいでしょう?」

「それは、お前が逃げようとしてるから…慌ててレジ閉めて追いかけてきたからだろう」

うっ…それを言われると。

「でも、だからって…」

カーテンを開き、男がいるであろうソファに向かって言い返そうとしたら、目の前に立っている男にぎゅっと抱きしめられていた。

私の肩に顎を乗せて

「逃げるなよ。お前のことになると冷静でいられない。従業員だから一線を引こうとしても、気になって仕方なかった。お前には男がいるってわかってても、お前目当ての男が現れると彼氏気取りで蹴散らして、その後無性に情けなくなってイラついてた。嫌われているのをわかってて振り向いてももらえないのにバカじゃないのかってな…」

耳越しに苦笑いしている彼に