悪魔な彼が愛を囁くとき


ウワッ…
ヤバイ…

絶対、逃げ出そうとしているのバレてるよ。

早く着替えて帰らなくっちゃ…

休憩室に逃げ込み、1人だからとカーテンも閉めずに制服を脱ぎロッカーにしまっていると

「いい眺め…」

恐る恐る声のする方を見たら、開けたドアに腕組みして寄りかかり楽し気にこちらを見ている男がいた。

「……き、きゃー」

手に持っていた服を抱きしめ、しゃがむ私。

「店長のスケベ、変態、エロジジイ…見るなー」

パニックってる頭では、これだけを言うのが精一杯。

「そう言われてもなぁ…見ちゃったし、今更だろう⁈」

ニヤッと笑い近寄ってくるから、しゃがんだまま逃げようとするけど、逃げられる訳がなくて…

「俺から逃げんなよ」

距離を詰められ

「捕まえた…ほら、風邪をひくだろう⁈」

そう言い、私の両腕を掴み立たせた男は着替えるようにと顎で促してきた。

現状が理解できない私。

いや、そもそもなぜあなたがそこにいる?

定位置になりつつあるソファの上に腰掛けこちらを見ている男を睨んでいた。

「凛、俺としては目の保養なんだけど着替えなくていいのか?」

自分が下着姿だと思い出し、『キャァー』とまた叫んでいた。