触れただけなのにジンジンする唇。
「俺の名前を呼んだ後に何を言おうとしたんだ?」
唇の上で話しだすから、生々しい感触に意識が飛びそうになる。
私の乱れた髪を耳にかけ名前を呼ぶ男。
「りん…教えろよ」
思い出させようと催促する声は甘い声で命令する。
甘い声と意地悪く光る瞳にとらわれ、逃げられないと確信した。
わかっているくせに言わせようとするなんて…
唇を重ねたまま、頬に手を添え答えるの待っている。
今、答えたらどうなるのだろう?
スカートの中の手は待ちきれないとでもいうように、内腿を撫で付け根に指が当たる。
わざとだ…
敏感に反応する体は、ピクッと揺れる。
別の生き物のように言うことを聞かない体。
くっくくく…
チラッと自分の腕時計を見て勝ち誇った笑い声が漏れる。
「もうそろそろ誰かくるかもな⁈」
⁈
男は、腕時計を私に見せる。
夜の部の始業時間まで後30分程しかない。
そろそろ、バイトの子が来てもおかしくない時間に我に返って、男を押しのける。
「…おい」
不機嫌丸出しの声で睨む男。
ちょっとビビるけど…かまっている暇はない。



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