先ほどまでの不安が消えていく。

「この子に優しくすれば、仁は私に優しかったじゃない。これからも優しくしていくから、私を好きになってよ」

引き下がらない佐和さんは、男の腕にしがみつき懇願している。

「無理だって言ってるだろ…何勘違いしてるか知らないが、お前自身に優しくした覚えはない。ただの一スタッフだからだよ。恋愛感情ない奴に感情さらけ出す意味ないだろう」

自分の腕にしがみつく腕を引き剥がして、トドメを刺す悪魔。

私が言われたわけじゃないけど、結構こたえる。

ショックを隠せない佐和さん。
でも、引き下がらない。

「女として魅力がないってこと?」

こんな時に図太い神経だと感心する私は、どこか冷静だったりする。

「あぁ…いい女だと思うが欲情しない。こいつに睨まれるだけで欲情するけどな‥」

強引に私の頭部を引き寄せられ、睨みつつ男の腕の中にスポッと収まる。

冷ややかな視線と艶めく眼差しにドキドキして居心地が悪い。

そんな私の顎を捉えてニヤッと笑う男にアッと思った瞬間、唇を塞がれ甘く啄ばまれ、ワナワナと震える佐和さんの体の震えが視線の隅にとまるが、それどころじゃなく翻弄されていく。