悪魔な彼が愛を囁くとき


「……は…い」

店長は、そう言って休憩室を出て行った。

最悪…

でも、助かったかも…
あのまま佐和さんが来なかったら確実にキスしていたわよね。

思い出しただけで頬が熱くなる。

頬をパシッっと叩いて、気合をいれる。

私、しっかりしろ…

「佐和さん、おはようございます。さっきは、佐和さんが来てくれて助かりました」

いつものように話しかけたつもりだった…

「……え、えぇ。お邪魔じゃなかった?」

目を合わせてくれない。

「朝からキスしたいって言われて、戸惑ってたんですよ」

「……それって…惚気?自慢?」

んっ?
いつも優しい雰囲気の佐和さんが、今日はトゲトゲしい。

「ボケっとしてないで早く、着替えたらどう?店長から外窓の窓拭き頼まれたんでしょう⁈フロアもあるのに時間ないんじゃない?」

「……そうですね…急いで着替えます」

佐和さんは、さっさと着替えを終わらせ休憩室を出て行ってしまった。

変なの?
いつもの佐和さんじゃないみたい。

虫の居所が悪いのかなぁ?

あっ、それはそうと急がねば…

着替えを終わらせフロアへ

佐和さんは、すでに店内掃除を始めていた。