カーテンの向こうから男が疑問に思ってたことを聞いてきたらしい。

よく、見ていたことで…

寝不足の目の下のクマは隠したつもりでも、明るい光の中で浮き出てしまっていたらしい。

「……後で、直しておきます」

「そんなことを聞きたいわけじゃない。クマができた理由を聞いてるんだ」

あなたとしたキスを考えて寝不足です。

そんなこと言えるわけないじゃない。

「……ちょっと、いろいろ考えることがあって……」

トップスに着ていたセーターを脱ごうとしたら、カシャと音がして振り返るとそこに立つ悪魔が恐ろしい顔をしたまま私をロッカーに押しつけてきた。

ガチャンとする音にビクッと体が揺れる。

「ごまかすな……昨日のキスが気になって寝れなかったんだろう⁈」

甘い声が優しく囁く。

図星を指され、言い訳を探そうと目を泳がす私。

でも、納得させる言い訳なんて思いつくはずがなく黙ってしまった。

「……凛、俺も昨日のキスが忘れられない。お前の唇の感触が忘れられないんだよ」

目の前で動く唇から響く声とセリフは、とても甘美なもので体の奥底にまで響いていく。それと同時に私の唇を弄ぶ男の指先にゾクッときていた。