悪魔な彼が愛を囁くとき


「新…」

パパさんに一喝されて新ちゃんは口を尖らせる。

「ケチ…おねぇちゃんのお胸柔らかくて気持ちよかったのに…」

「俺でさえ、触ってないのに…子供ってことを武器に触るな」

な、なんですと…

店長にべーと舌を出したら、男は憎たらし気に拳をあげる。

うわーと笑いながら、逃げていく新ちゃんを追いかける店長。

まさか…

「ごめんね…誰かさんの影響が強くてあの子、おませなのよ」

ママさんが苦笑している。

ぽりぽりと鼻の頭をかいているパパさんに目がいった。

あなたが原因ですか⁈

呆れていたら、背後で悪魔の怒鳴り声が

「今度、俺の凛に手を出したらただじゃおかないからな」

小さな体で逃げ回る新ちゃんに仁王立ちし、大人気ない男。

「誰のですか?」

ボソッと突っ込むとクスリと笑うママさん。

「凛ちゃん⁈って呼ばせてね」

「はい‥美鈴さんってお呼びしてもいいですか?」

「大歓迎よ。じんくん、子供相手にムキになる程あなたが大事なのね」

「そうなんでしょうか?」

「私は、クールな仁くんしか知らないから、今日の彼は新鮮よ。女の子にあんな甘い顔する彼は初めて見たわ。愛されてるわね」

じわじわと体温が上昇して、一気にゆでダコになっていた。