悪魔な彼が愛を囁くとき


「それで…昨日の続きは?」

佐和さんの声がしたと思ったら

「あっ……あれだ」

綾乃さんがニヤッと笑った。

「な、なによ」

「昨日、私、言ってたじゃない⁈店長と凛ちゃん朝から変だったって…」

首を縦に振り頷く佐和さん。

「でね‥…」

「綾乃さん…」

「凛ちゃんはシャラップ」

私は、綾乃さんの一睨みにたじろぐ始末。

「朝からホールで怪しい雰囲気だったのよ。綾乃ちゃんを両手で囲んで覆いかぶさってるの」

きゃーと佐和さんははしゃぎだす。

「だから、説明したじゃないですか⁈」

「凛ちゃん、うるさいよ」

怖いです…綾乃さん。

「凛ちゃんは頭突きされたって言い訳してたけど…あれは、抱きしめていたのよね」

私の目を見て確信する綾乃さんに、首を左右に何度も振り違うと抗議する。

「じゃあ、なんなのよ。また、頭突きなんて言い訳通用しないわよ」

綾乃さんの横でうんうんと頷く佐和さんの視線も痛い。

「だから、だからですね…あれはコーヒーメーカーの佐賀さんに一緒にコーヒーを飲みましょうって誘われてたのをすぐ側で聞いていた店長が……『店長が?』」

2人の声がハモる。

「気に食わなかったようです」