毎日、必死な私と違い笑顔で幾つもこなす店長。

あんたはすごいよ。

『すみません。気をつけます』

下唇を噛んで悔しさを逃す。

私のこと好きだって言うなら、少しぐらい優しくしてくれてもいいじゃん。

なぜだか珍しく目頭が熱くなってくる。

くそー

『凛、俺たちの仕事はいかにお客に気遣いができるかだ…お客の立場に立って行動しろ』

いつも怒るだけの店長が、はじめてアドバイスらしきことを…

驚いて、思わず店長を見てしまう。

『なんだ⁈その鳩が豆鉄砲くらったような顔は?』

『…いえ、…』

『あっ?』

『その…いつも怒られてばかりで、店長からはじめてそんなことを言っていただいけたので驚いただけです』

『………怒っているつもりはない。その…お前だと…つい、きつい言い方になってしまう。これからは気をつける…恐い思いさせていたなら悪かったな 』

気まずいのか、頭をポリポリかいて目をそらしてしまった。

なんだ?この感情…
謝ってもらえたのにモヤッとする。

『店長らしくないですよ』

『あぁん⁈』

眉間にしわを寄せ睨んでいる店長。

だけど、もう恐くない。

『…しおらしい店長よりいつもの店長の方が好きですよ』