そして、木々は新しい葉をつける。




日曜日の午後、私は新と待ち合わせをして出かけた。

見事、志望校に合格した新はこの春から
大学生になった。

あの日から、私たちは会っていない。


「先生、飲みに行く?」

「昼間から…それにあなた未成年でしょう」


いつもなら拗ねる新が
今日は何か誇らしげに笑っている。


「なに…?」

「茉美ちゃん、俺、20歳になったんだよ」


「大学生にもなったし、
そろそろあの時の返事も貰いたいしなぁ…」


20歳になったところで、私たちは8歳差
それにまたすぐ9歳差に戻る


「大丈夫。俺、本気だから」


まっすぐにこちらを見つめる新の目。






「茉美ちゃん、好きだよ。俺と付き合って」










私は頷いた。




優しい風が吹き、
眩しい光が私たちを包む。



春の青空を、魚のような雲が泳いで行った。






おわり。