徐々に出口に近づいていく。
最後の部屋に入った時、私は動けなくなってしまった。
そこに飾られている写真
真っ白なシーツの上に横たわる女の人
顔は隠れて見えないけれど
紛れもない、 私だ。
あの朝、短くてそして長かった
私たちの関係の中で
たった一度
健吾の部屋で迎えた朝
あなたなかなか起きなかったじゃん。
ずっとずっとうずくまって
まるで子犬のように
寝てたじゃん。
「いつ撮ったの………」
彼の目線の先に、
彼の捧げた世界に、
私がいた。
それからどのくらいの間
私はその写真の前にいたのだろう。
やっと、ずっとしがみついていた木の葉が
幹から落ちていったような気がした。