彼は写真に人生の全てを捧げた。

私は何かしてあげられただろうか。

彼を満たせていただろうか。


天才とあがめられ
世間から期待され
プレッシャーと孤独と戦う彼を
救えていただろうか。




写真はどれも本当に眩しかった。

木々の隙間から射し込む木漏れ日のように
雪に反射する太陽の光のように。


彼に愛され、切り取られた世界たちは
まるで彼に優しく抱かれているようだった。


"茉美ちゃんは、僕の作品に嫉妬してしまうかもしれない"


嫉妬するよ。

こんな風に、あなたに見られている世界を。