「なぁ、茉美」

カフェラテの最後の一口を飲み干して、
本木の顔がやや曇った。




「俺、知らなかったんだけど。


中谷健吾って5年前に亡くなってたんだって…


今回の展示の趣旨はそういうことだったんだな。
中谷健吾の集大成というか。
惜しい才能を亡くしたよ。ほんと。
メディアも大騒ぎ」




私はゆっくりとコーヒーカップをソーサーに戻し

まだ降り続いている雪を
じっと見つめた。