「終わりにしたいって、どういうこと?」

本木はタバコの煙を吐きながら私に問いかける。

「終わりも何も、付き合ってるわけじゃないんだから、茉美が嫌なら終わりにすればいいよ。」


私も本木もお互いに依存しているわけではなかったから、別れは簡単だった。


「茉美、何があったか知らないけど、
気楽に生きなよ。
傷ついたり苦しく思ったり、そうやって感じられることは素晴らしいことだから、
無理やり自分の中に押し込まないで、そういう感情も大切にしなさい。
大体の人間はそれを負として扱い、逃げるか負けるんだ。
逃げたりせずに、しっかりと向き合え。
でもね、茉美、
負けるなよ。その感情に飲み込まれないようにだけ、気をつけろ」


真面目に話したかと思うと

「あー、茉美の体よかったんだけどなぁー」

と嘆く。

左手に光る指輪。


この人は、ほんと、最低だ。