新の入試まであと少しになった。

部屋と外気の温度差で曇った窓ガラスの外には雪が積もっている。

振り返ると、私のベッドで新は小さく寝息を立てている。

あどけない、少年のような
女の子のような綺麗な寝顔。


頬に触れてみる。
「ん……冷た…」

「朝だよ。雪、降ってる」


火にかけたお鍋が沸騰したので急いでキッチンへ行く
新も私のあとを追ってベッドから出た。

「入試の日も雪降るのかなぁ…やだなぁ」

温かいスープを新の前に出す。


「ねぇ、先生」

「ん?」

「俺、絶対今年大学入るから、そしたら
付き合って欲しい。」

まっすぐな目で。

少しタレ目の、澄んだ瞳の
パッチリした二重

「俺のものになって?茉美ちゃん」



雪はどんどん降り積もっていく。

健吾の生まれた場所も
こんな風に、冬は果てしなく
白く染まる街だった。