「何か隠しごとしてない?」

広いリビングのソファーで健吾はため息混じりに聞いてきた。

「してないよ」

私はウイスキーにコーラを足して彼に渡した。

「本当に?」

「うん。なにも」

グラスに口をつけ、私の肩にもたれかかる。

「ごめん、制作してると凄く気持ちが繊細になるんだ」

「うん」

「髪、切ったんだね。すごく似合う」

そして一気に飲み干すと、
私に深いキスをした。

ウイスキーの香りで頭がぼーっとする。


「もっともっと、僕の好みの女性になってよ。
それで僕を満たして」

彼の唇が首筋を這い、全身へ移っていく。





私は彼の内側へ流れ込みたかった。
流れ込み彼の一部になって生きたかった。
まどろっこしい体を捨てて、そんなもの無くして、彼の中に住みたかった。




私を抱き、汗をかいた彼の横顔を見ていると涙が出てきた。