ラブホテルへ来たのなんて何年ぶりだろう

乱れたベッド

飲み干したお酒の空き瓶

吸い殻の詰まった灰皿


ザーーーー

バスルームはスモークガラスで
薄っすらと人影が見える

「恥ずかしいね、見えそうだよーー」

「マジで?見えてる?」

「見えてない。ギリギリ。あはは」

私は服のシワを伸ばし、髪をとかした。

化粧を直して靴を履いていると
バスルームのドアが開いた。

「帰る?送ってこうか?」
「大丈夫。1人で帰れるよ」
「そっか、じゃあタクシー代渡すわ」

私は本木からお金を受け取ると
部屋を後にした。




満月が綺麗。
「きれきだね」
「きれいだよ」
そんなことを1人でつぶやいていると電話が鳴った。

健吾だ。
「もしもし?」
「何してるの?」
「散歩」
「いいね」