「想像以上だな…」 珍しく息を切らし一人呟く。 茶色い山肌は、ぬるぬるとした泥土だった。 遠くから眺めれば白みがかった灰色で、この山を岩山だと『地界』の誰もが信じて疑わなかった。 例外でなく、この自身もーー。 だらしなくも全身が泥だらけで、とてもではないが泣く子も黙る閻魔大魔王だとは誰もが思うまい。 それにしても、どれだけ登ったのか。 ふと見やれば、眼下には遥かかなたに豆粒ほどの亡者どもがいた。 絶え間なく襲う地獄の責め苦に耐え切れずに右往左往している…。