すごく気がきく人だな。
洞察力が優れているみたい。
‘あの部屋’について、ドアが開く。
あれ、見覚えのある部屋だな………。
「履き物はそこへ置いといていいだろう。あとで整えさせる。」
ライさんが最初に足を踏み入れる。
それに続いて、私たちも中へ入った。
あぁ、昨日夕飯食べた座敷に似てるんだ!!!!
わたしは足の指の痛さで、体がよろめいた。
すると、浩太が腕を掴んで支えてくれた。
気のせいか、私が昨日部屋で怒ったときと同じように心配そうな目をしているようにみえた。
心配してくれてる……?
「敷居を踏むな!」
私の顔を見ずに、小声で浩太は注意してきた。
なんだそんなことか。
私はなぜか少し機嫌が悪くなって、わざと敷居を踏んだ。
別に期待していたわけじゃない、と自分に暗示をかけた。
私は素知らぬふりをして、そのまま中へ入った。
座布団が丁寧に敷いてあって、真ん中にはテーブル。
あそこよりは狭いけど造りが同じだった。
「適当に座りなさい。」
ライさんにそう言われ、ウロついていた私は一番近くにあった座布団に座った。
目の前には浩太がいた。
……あ、失敗した。
でも今更席を変えることなんてできないし……。
私の目に穴が開くくらい睨んでくる浩太から目を逸らして一息ついた。
「改めて、挨拶とするか。
私はここで院長をしてる。よろしく。」
「はい、よろしくお願いします。」
お医者さんなんだ。
まぁ、そりゃそうか。ここにいるんだから。
ふとした拍子に浩太と目が合ってしまう。
浩太は私が見ていることを確かめてから横目でライさんを見た。
私もライさんを見るけど、変わった様子はない。
じゃあ何。
浩太の眉間にシワが寄った時、気づいた。
私も挨拶しろってこと…?
誰も喋ろうとしないこの雰囲気は、きっとそうなのかな。
「えと…私は昨日族に入りました。」
能力のことを言おうと口を開きかけたとき、クスクスと控えめな笑い声が聞こえた。
私、変なこと言った?
「入りましたって……。フッ……。どうせマキが無理に入れたんだろう。」
本当にこの人は洞察力があるなぁ。
なんてのんきに考える。
「女の子を入れるなんてよっぽどの理由があったんだな……マキ。」


