「以後こんなことがないように。」

「はい、すいませんでした。」

長々と続いた担任の説教が終わり、職員室から出る。

って……もうこんな時間?!

外も暗くなってる……最悪……。


トボトボと廊下を歩いていく。

遠くに人影が見える。


あれ、もしかして浩太……?

さっき見かけたのもそこだったよーな。



浩太は私に気付いたらしく、犬のようにはしゃいで寄ってきた。




「茜〜!!ぐーうぜーん。」

「浩太……ずっとそこにいたよね?」

「え、だ、だから偶然……」

教室出たときからつけられてる気がしてたんだよね……。

「ま、そーゆーことにしとくよ。」

「バレてたか〜」

浩太は歯を見せて懐っこい笑顔をみせた。

いわゆる、かわいいイケメンってやつかな、うん。
モテるんだろう。きっと。


「で、なんか話があったんじゃないの?」
浩太はそうだったと言って真剣な顔をした。

「…………」

??

「何言うか忘れた」

……はい?!
忘れた?!
長い時間待ってたのに?!

「ついでだし一緒に帰ろう。」


どんなついでだよ…もう。

でも長い時間待っててくれたし。行かざるを得ない。


「そうだね。ついでだしね。」


少し皮肉っぽく笑った。